「BGP」の機能について説明します。エッジ装置にはシンプルなBGP機能が実装されています。StaticRouteで個々に設定しなくても、ダイナミックルーティングを利用して、経路交換を実施することが出来ます。
- LAN側BGPとして機能するのは、eBGPとなります。
- LAN側BGPが利用可能な構成は、シングル拠点のみとなり、ホットスタンバイでは利用できません。
- LAN側BGPのBGPピアリングは、イニシエーターとしてのみ動作します。エッジ装置からTCP通信の開始要求を送信した場合にBGPのセッションを確立します。お客様ルータ側から開始要求があった場合にはRSTパケットを返します。
- エッジ装置のLAN側直下のネットワークは、自動的にコントローラ上にあるルートリフレクタを介して、全経路情報を学習しています。この時、エッジ装置にてLAN側BGPを有効化している場合、この全ての経路情報を配下のBGPルータへ経路広告します。
- エッジ装置のLANポートに接続されたBGPルータから広告される経路情報(MED値含む)は、オーバレイ上のルートリフレクタを介して、全てのエッジ装置へ経路広告されます。
MED値を利用した冗長構成(HA構成)
- エッジ装置のBGPでは、MED設定をサポートしています。
これにより同じAS番号に所属する複数のエッジ装置で優劣をつけ、Main/Backupとしてご利用できます。 - CloudWANのオーバレイでは、ベストパス選択に使用されるパス属性は、MEDのみ有効となります。MED以外のパス属性(Local Pref, AS-Path, Router-IDなど)は、サポート外です。この場合、BGPパス選択がランダム(非決定)となる場合があり、経路のフラッピングが発生することがありますので、エッジ装置で優劣をつける場合には、必ずMED値を設定してください。
- CloudWANのMEDは、同一隣接ASから学習した重複経路に対して有効です。異なるASから学習した重複経路(例. AS65002とAS65003から受け取った重複する経路情報)は比較されず、 BGPパス選択がランダム(非決定)となります。
- CloudWANのコントロールパネルから設定するBGP設定画面でMED値を入力した場合、LAN側への経路広告、およびWAN側(オーバレイ)への経路広告のどちらも入力したMED値をセットします。その結果、他の拠点のエッジ装置は、MEDの優劣に基づき、Main側を経由して通信が行われます。
- お客様のBGPルータ側の経路広告にMEDをセットした場合、エッジ装置はWAN側(オーバレイ)へMED値をそのまま経路広告します。但し、エッジ装置のBGPでMED設定をしている場合には、そのMED設定値に書き換えて経路広告されます。
デフォルトルートを利用した冗長構成(ロードバランス構成)
- シングル拠点を複数台準備し、同じAS番号に所属させ、エッジ装置のLAN側配下のBGPルータよりデフォルトルートを再配布することでロードバランス構成を組むことが出来ます。
- シングル構成のロードバランス構成は、最大4台までとなります。
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シングル構成のロードバランス構成において、障害発生時の他のエッジ装置への切り替わり時は、約120秒程度の通信断が発生します。
※対向エッジ装置でLAN側OSPFを利用中の場合、OSPF側の拠点で30秒程度×1~2回の通信断が発生することがあります。 -
シングル構成のロードバランス構成において、障害復旧時は0-1秒程度の通信断が発生します。
※対向エッジ装置でLAN側OSPFを利用中の場合、OSPF側の拠点で30秒程度×1~2回の通信断が発生することがあります。 -
シングル構成のロードバランス構成で、複数のエッジ装置から同一のprefixを持つ経路情報を広告している場合、以下の (a) (b) 通り、経路によって動作が異なります。
(a) 特定のPrefixの経路(例. 192.168.1.10/24)が複数のエッジ装置から経路広告している場合
複数のエッジ装置配下のBGPルータから経路広告されている経路情報が等コストの場合、ルートリフレクタの最適なパス選択にタイブレーカがないため、BGPパス選択がランダム(非決定)となり、経路のフラッピングが発生します。この場合の動作はサポート外となります。
特定のPrefixの経路(デフォルトルート以外の経路)は、 エッジ装置配下のBGPルータにて必ずMED値を付与して経路広告してください。
(b) デフォルトルート(例. 0.0.0.0/0)が複数のエッジ装置から経路広告している場合
対向のエッジ装置側からの通信は、ロードバランスします。ロードバランスが動作するのは、デフォルトルート(0.0.0.0/0)のみとなります。0.0.0.0/0の経路の場合、MED値が付与されていた場合でもロードバランスされます。
ロードバランスは、3tuple(送信元IP /宛先IP/ プロトコル(TCP / UDP / ICMP))を基にしたHash計算により、送出するパスを選択します。なお、ロードバランスは、セッション単位となります。
留意事項
- LAN側BGPは、eBGPマルチホップに対応しておりません。
- LAN側BGPは、複数のBGPピアに対応しておりません。
- CloudWANのオーバレイ内のルーティングは、MED以外のパス属性(Local Pref, AS-Path, Router-IDなど)は、サポート外となります。
- CloudWANのオーバレイ内のルーティングは、デフォルトルートはロードバランスします。
- LAN側BGPを有効にする場合、セグメンテーションとの併用は出来ません。
- LAN側BGPを有効にする場合、スタティックルートと併用はできません。
- CloudWANのLANポートで同じネットワーク定義に割り当てた場合、複数のエッジ装置において、それぞれのLANポートで同じサブネットは設定出来ません。お客様のBGPルータ側でサブネットの重複しないように設計/設定をお願い致します。
- AS番号は、2byte(16bit)までサポートしています。4byte(32bit)の拡張はございません。
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