エッジ装置はWAN回線を2本接続し、WAN回線の冗長化 (Act/Act) を構成することが可能です。
また、1本のWAN回線で、v4アドレスとv6アドレスの2つのアドレスを持つことができる場合も、2本のトンネルを確立し、 v4とv6の2つトンネルを用いて、(Act/Act) を構成することが可能です。
ここではハイブリッドWANで利用できる機能をご説明いたします。
インターフェイスタグに基づくハイブリッドWAN設定については、以下をご確認ください。
デフォルト設定
ある拠点Aと拠点Bの間で、複数のDプレーントンネルを確立している場合、自動的に全てのトンネルを用いて Active / Activeのロードバランスにて通信いたします。これはデフォルトとして動作します。この動作でよい場合は、ハイブリッドWANの設定は不要です。
カスタマイズ設定
カスタマイズ設定により、回線品質や特定の通信 (IPアドレスやプロトコルなど) で優先回線/優先Dプレーントンネルを指定して通信を流すことが可能です。
設定手順
ハイブリッドWANのデフォルト設定から変更する場合には、事前に各設定情報の参照先を定義する必要があります。設定項目における設定手順及び相関関係は下図の通りです。
- カスタムトラフィックの作成
- トラフィッククラスの作成
- 経路選択プロファイルの作成
- ハイブリッドWANポリシーの作成
- マッピング
カスタムトラフィックの設定
当該エッジ装置がハイブリッドWAN機能を用いて通信を行う場合に、IPセグメントやプロトコルなどの個別条件を参照させるためのカスタムトラフィックを作成します。
設定手順
- TOP画面 > ハイブリッドWAN > ポリシー構成[カスタムトラフィック] > [+カスタムトラフィック作成]
設定項目の設定値は以下となります。
項目 | 内容 | |
名前 | 作成するカスタムトラフィックの名称を入力 | |
メモ | 備考欄として利用 | |
DSCP値の識別 | サポート外となります。 | |
内容 | TCP / UDP / ICMP |
対象プロトコルの選択 いずれかを指定下さい |
宛先IPアドレス | 対象とする宛先のIPアドレスもしくはネットワークアドレスを指定 | |
宛先ポート番号 | 対象とする宛先のポート番号を指定 ポートレンジ指定可能(1設定行あたり連続指定範囲は、1-512毎) ポート番号の設定行は複数指定が可能(最大10個まで) |
|
送信元IPアドレス | 対象とする送信元のIPアドレスもしくはネットワークアドレスを指定 | |
送信元ポート番号 | 対象とする送信元のポート番号を指定 ポートレンジ指定可能(1設定行あたり連続指定範囲は、1-512毎) ポート番号の設定行は複数指定が可能(最大10個まで) |
パラメータ値
名前
設定値:[カスタムトラフィックの名称のテキスト]
新たに作成するカスタムトラフィックの名称を入力します。
例:Simple-Traffic-APP
メモ
設定値:備考欄としてのテキスト
作成するカスタムトラフィックの備考/補足説明してテキストを入力します。
例:シンプルなトラフィック制御用
DSCP値
サポート外となります。
TCP / UDP / ICMP
設定値:[/ / / ]
条件としてプロトコルを選択します。
宛先 IPアドレス
設定値:宛先のIPアドレスのテキスト
条件として宛先のIPアドレス(HOST)もしくはネットワークアドレスを指定します。
例:192.168.100.1 もしくは 192.168.100.0/24
宛先 ポート番号
設定値:宛先ポート番号のテキスト
条件として宛先ポート番号を指定します。ポート番号は[+Add Item]により追加可能です。
ポート番号の設定行は複数指定が可能です。
ポートレンジ指定も可能(1設定行あたり連続指定範囲は、1-512毎)
例:80
例:5000-5200
送信元 IPアドレス
設定値:送信元のIPアドレスのテキスト
条件として送信元のIPアドレス ( HOST ) もしくはネットワークアドレスを指定します。
例:192.168.200.1 もしくは 192.168.200.0/24
送信元 ポート番号
設定値:宛先ポート番号のテキスト
条件として宛先ポート番号を指定します。ポート番号は[+Add Item]により追加可能です。
ポート番号の設定行は複数指定が可能です。
ポートレンジ指定も可能(1設定行あたり連続指定範囲は、1-512毎)
例:80
例:5000-5200
トラフィッククラスの設定
当該エッジ装置がハイブリッドWAN機能を用いて通信を行う場合に、組み込みプロトコル (HTTPなど) や個別に設定した宛先ポート番号、送信元ポート番号を参照するために「トラフィッククラス」を作成します。
設定手順
- TOP画面 > ハイブリッドWAN > ポリシー構成[トラフィッククラス] > [+トラフィッククラス作成]
設定項目の設定値は以下となります。
項目 | 内容 |
名前 | 作成するクラスの名称を入力 |
メモ | 備考欄として利用 |
アプリケーション選択 | 作成したカスタムアプリケーションまたは組み込みのアプリケーションまたは通信プロトコルを選択 |
パラメータ値
名前
設定値:トラフィッククラスの名称のテキスト
新たに作成するトラフィッククラスの名称を入力します。
例:Simple-Traffic-CLASS
この「トラフィッククラス」の名前にすべての通信を意味する"__default__" (アンダーバー、アンダーバー、default、アンダーバー、アンダーバー)と入力した場合、「すべての通信」を意味する「トラフィッククラス」を定義することが出来ます。
例:__default__
メモ
設定値:備考欄としてのテキスト
新たに作成するトラフィッククラスの備考/補足説明してテキストを入力します。
例:シンプルなトラフィック制御用のクラス
カスタムトラフィック
設定値:[組み込みプロトコル / カスタムトラフィック]
条件として宛先ポート番号を指定します。組み込みプロトコル (例.HTTPなど) や事前に定義した
カスタムトラフィックを選択することも可能です。ポート番号は[+Add Item]により追加可能です。
経路選択プロファイルの設定
当該エッジ装置がハイブリッドWAN機能を用いて通信を行う場合に、パケットロス率、ジッター(ゆらぎ)、遅延値や、WANインタフェース、トンネルのアドレス帯に基づいて、経路選択を行う条件を作成できます。経路選択を行うための条件を記載したものが、経路選択プロファイルになります。
設定手順
- TOP画面 > ハイブリッドWAN > ポリシー構成[経路選択プロファイル] > [+経路選択プロファイル作成]
設定項目の設定値は以下となります。
項目 | 内容 | ||
名前 | 作成するカスタムトラフィックの名称を入力 | ||
メモ | 備考欄として利用 | ||
内容 | 経路選択プロファイル項目名 | 作成内容のプロファイル名を設定 | |
パケットロス率 判定基準 |
最大値(%) | パケットロスの最大値をパーセンテージで入力 | |
最小値(%) | パケットロスの最小値をパーセンテージで入力 | ||
判定方式 | 設定値の範囲内を条件選択 | ||
レイテンシー 判定基準 |
最大値(ms) | 遅延値の最大値をミリ秒で入力 | |
最小値(ms) | 遅延値の最小値をミリ秒で入力 | ||
判定方式 | 設定値の範囲内を条件選択 | ||
ジッター 判定基準 |
最大値(ms) | 遅延間隔ゆらぎの最大値をミリ秒で入力 | |
最小値(ms) | 遅延間隔ゆらぎの最小値をミリ秒で入力 | ||
判定方式 | 設定値の範囲内を条件選択 | ||
address family |
条件に合致したDプレーントンネルを指定します |
||
インタフェース設定 |
インタフェースタグ |
||
Local インターフェースタグ |
送信元のWANインタフェースタグを指定する |
||
Remote インターフェースタグ | 送信先のWANインタフェースタグを指定する (インタフェースタグを未作成の場合は選択肢に表示されません) |
パラメータ値
名前
設定値:経路選択プロファイルの名称のテキスト。
新たに作成するプロファイルの名称を入力します。
例:Simple-Traffic-PROFILE
メモ
設定値:備考欄としてのテキスト
新たに作成するプロファイルの備考/補足説明してテキストを入力します。
例:シンプルなトラフィック制御用のプロファイル
経路選択プロファイル項目名
設定値:プロファイルの名称のテキスト
経路選択条件を複数設定可能です。ここでは1つのプロファイルに複数の条件を設定する場合に、各条件に対する名称を入力します。50個までの設定が可能となり、項目タブの左から順に評価され、合致した条件が適用されます。
例:Simple-PROFILE
パケットロス率判定基準
設定値:パケットロス値の最小/最大値をパーセント (%) のテキスト
パケットロスに対する経路選択条件を定義するため、パケットロスの最小/最大値をパーセント (%) で指定します。パケットロスは1秒間に1回パケットを送信し、約180~300秒間の総計で判断します。
最小値と最大値の範囲内を条件として指定する場合は、判定条件でlowestを選択します。
最小値と最大値の範囲外を条件として指定する場合は、判定条件でhighestを選択します。
例:最大値:99、最小値:0、判定条件 lowest
レイテンシー判定基準
設定値:遅延値の最小/最大値をMilliseconds (msec) のテキスト
遅延値に対する経路選択条件を定義するため、遅延値の最小/最大値をMilliseconds (msec) で指定します。
遅延値は1秒間に1回パケットを送信し、約180~300秒間の総計で判断します。
最小値と最大値の範囲内を条件として指定する場合は、判定条件でlowestを選択します。
最小値と最大値の範囲外を条件として指定する場合は、判定条件でhighestを選択します。
例:最大値 10000、 最小値 0、 判定条件 lowest:遅延値が0-10000msecの範囲内の場合を条件とします。
ジッター判定基準
設定値:遅延の揺らぎの最小/最大値をMilliseconds (msec) のテキスト
遅延の揺らぎに対する経路選択条件を定義するため、遅延の揺らぎの最小/最大値をMilliseconds (msec) で指定します。遅延の揺らぎは、1秒間に1回パケットを送信し、約180~300秒間の平均値からの最小値、最大値を測定します。
最小値と最大値の範囲内を条件として指定する場合は、判定条件でlowestを選択します。
最小値と最大値の範囲外を条件として指定する場合は、判定条件でhighestを選択します。
例:最大値 10000、 最小値 0、 判定条件 lowest:遅延のゆらぎが0-10000msecの範囲内の場合を条件とします。
address family
設定値:[IPv4のみ、IPv6のみ、IPv4+IPv6両方]
WANインターフェースではなく、Dプレーントンネルのアドレス帯を指定した制御も可能です。
IPoE回線等で、1本のWAN回線でv6アドレス/V4アドレスが両方利用できる場合に、v6アドレスによるNGN折り返し通信を利用したい場合に、IPv6アドレスのトンネルを指定した経路選択プロファイルを作成できます。
インタフェースタグ
設定値:[(お客様が作成されたインタフェースタグ)]
Localインタフェースタグ :送信元のWANインタフェースタグを指定します。
Remoteインタフェースタグ:送信先のWANインタフェースタグを指定します。
※インタフェースタグを未作成の場合は、選択肢のプルダウンメニューに表示されませんので、
インタフェースタグを作成後に、再度ご指定下さい。
※インタフェースタグによるハイブリッドWAN機能を有効にするには、上記の経路選択プロファイルの作成の他に、各エッジ装置のWANインタフェースに作成したインタフェースタグを紐づける必要があります。詳細は以下のページをご参照下さい。
コントロールパネル(オーバーレイタイプ):ハイブリッドWAN(インターフェースタグ)
留意事項
- 指定した条件に合致するDプレーントンネルが存在しない場合、存在するする全てのDプレーントンネルを利用して、Act/Actでロードバランスするデフォルト設定の動作となります。
ハイブリッドWANポリシーの設定
当該エッジ装置がハイブリッドWAN機能を用いて通信を行う場合に、事前定義した各条件(トラフィッククラス(カスタムトラフィック含む)、経路選択プロファイル)を1つのポリシーとして定義、マッピング時に参照させるためのハイブリッドWANポリシーを作成します。
設定手順
1.ハイブリッドWANポリシーの作成
TOP画面 > ハイブリッドWAN > ハイブリッドWANポリシー > [+ハイブリッドWANポリシー作成]
設定項目の設定値は以下となります。
項目 | 内容 |
ハイブリッドWANポリシー名 | 作成するハイブリッドWANポリシーの名称を入力 |
2.トラフィッククラスと経路選択の変更
- 作成したハイブリッドWANポリシー名 > ハイブリッドWANポリシー詳細 > [+トラフィッククラスと経路選択プロファイル指定作成]
設定項目の設定値は以下となります。
項目 | 内容 |
名前 |
作成するハイブリッドWANポリシーの名称を入力 |
トラフィッククラス | 作成したトラフィッククラスをリストから指定 |
経路選択プロファイル | 作成した経路選択プロファイルをリストから指定 |
パラメータ値
1.ハイブリッドWANポリシーの作成
ハイブリッドWANポリシー名
設定値:[ハイブリッドWANポリシー]
新たに作成するハイブリッドWANポリシーの名称を入力します。
例:Simple-HybridWAN-POLICY
2.ハイブリッドWANポリシーの設定
名前
設定値:[ポリシー設定の名前]
新たに作成するポリシー設定の名前の名称を入力します。
例:Simple-HybridWAN-POLICY (1と別名称でも可能)
トラフィッククラス
設定値:[トラフィッククラス]
事前に作成したトラフィッククラスを参照するために指定します。
例:Simple-Traffic-CLASS
経路選択プロファイル
設定値:[経路選択プロファイル]
事前に作成した経路選択プロファイルを参照するために指定します。
例:Simple-Traffic-PRPFILE
※他で利用できるDプレーントンネルがあった場合には、指定したトンネル以外だとしても利用可能なDプレーントンネルを使って通信をします。
複数のDプレーントンネルがある場合は、ロードバランスの動作になります。
Dプレーントンネルが1つのみの場合は、ロードバランスではなく、その1つのトンネルのみを使って通信します。
マッピングの実施
当該エッジ装置がハイブリッドWAN機能を用いて通信を行う場合に、最終的に設定した各ポリシーを適用させるためにマッピングを行います。
設定手順
- TOP画面 > マッピング > テナント選択 > ハイブリッドWANポリシー[編集ボタン]
設定項目の設定値は以下となります。
項目 | 内容 |
ハイブリッドWANポリシー選択 | 作成したハイブリッドWANポリシーをリストから選択 |
パラメータ値
ハイブリッドWANポリシー選択
設定値:[ハイブリッドWANポリシーのリスト]
選択した拠点に適用したい作成済みのハイブリッドWANポリシーを選択します。
以上で、ハイブリッドWANの設定及びその適用は完了です。
マッピングの実施(一括設定)
複数の拠点に同時にポリシーを適用する場合、「一括設定」機能がご利用可能です。
設定手順
- TOP画面 > 「マッピング」アイコン > テナント選択 > 「一括設定」タブ
1.表示件数の選択
- 表示件数単位が一括設定対象となり、表示件数は、20、50、100と変更可能です。
2.設定変更したい「ハイブリッドWANポリシー」または「QoSポリシー」を選択します。
プルダウンから適用したいポリシーを選択します。
適用したい対象拠点をチェックボックスより選択します。
「一括設定」をクリックします。
3.ポップアップが表示されます。
実行したい場合はインストールをクリック(キャンセルしたい場合はキャンセルをクリック)します。
4.「一括設定」により実行された設定結果が下段の「設定結果」に表示されます。
適用に失敗した場合には、再度一括設定を実行いただくか個別設定を実施してください。
以上で、ハイブリッドWANの一括適用は完了です。
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